第2部 礼典諸式 第6節 牧師就任式 教会が牧師を招聘し、教団がこれを承認したとき、教区長あるいは本部員は該当教会の役員会を協議の上、就任式を行う。その司式者には本部員か教区長がこれにあたり、次の順序で就任式を行う。 祈祷 賛美 聖歌502「エホバはまことの牧者」 式辞 教会の頭であられる私たちの主イエス・キリストは「わたしの小羊を飼いなさい。わたしの羊を牧しなさい」と命じられ、群れの中に牧者を立て「神がご自身の血をもって買い取られた神の教会を牧させる。」 兄弟姉妹、私たちは今、主の御旨に従い、牧師としてこの教会の招聘した主のしもべが、これを受諾し、私たちもまた、その牧師としてふさわしいことを認めました。よってここに、主イエス・キリストの御名により、今から( )牧師の牧師就任式を行います。 聖書 ヨハネの福音書10章7-15節 そこで、イエスはまた言われた。「まことに、まことに、あなたがたに告げます。わたしは羊の門です。わたしの前に来た者はみな、盗人で強盗です。羊は彼らの言うことを聞かなかったのです。わたしは門です。だれでも、わたしを通ってはいるなら、救われます。また安らかに出入りし、牧草を見つけます。盗人が来るのは、ただ盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするだけのためです。わたしが来たのは、羊がいのちを得、またそれを豊かに持っためです。わたしは、良い牧者です。良い牧者は羊のためにいのちを捨てます。……わたしは良い牧者です。わたしはわたしのものを知っています。また、わたしのものは、わたしを知っています。それは、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同様です。また、わたしは羊のためにわたしのいのちを捨てます。」 聖書 ヨハネの福音書21章15-19節 彼らが食事を済ませたとき、イエスはシモン・ペテロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたは、この人たち以上に、わたしを愛しますか。」ペテロはイエスに言った。「はい。主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの小羊を飼いなさい。」イエスは再び彼に言われた。「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛しますか。」ペテロはイエスに言った。「はい。主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの羊を牧しなさい。」イエスは三度ペテロに言われた。「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛しますか。」ペテロは、イエスが三度「あなたはわたしを愛しますか。」と言われたので、心を痛めてイエスに言った。「主よ。あなたはいっさいのことをご」存じです。あなたは、私があなたを愛することを知っておいでになります。」イエスは彼に言われた。「わたしの羊を飼いなさい。まことに、まことに、あなたに告げます。あなたは若かった時には、自分で帯を締めて、自分の歩きたい所を歩きました。しかし年をとると、あなたは自分の手を伸ばし、ほかの人があなたに帯をさせて、あなたの行きたくない所に連れて行きます。」これは、ペテロがどのような死に方をして、神の栄光を現わすかを示して、言われたことであった。こうお話しになってから、ペテロに言われた。「わたしに従いなさい。」 聖書 テモテヘの手紙第二、4章1-8節(ただし省略してもよい) 神の御前で、また、生きている人と死んだ人とをさばかれるキリスト・イエスの御前で、その現われとその御国を思って、私はおごそかに命じます。みことばを宜べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。寛容を尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。というのは、人々が健全な教えに耳を貸そうとせず、自分のつごうの良いことを言ってもらうために、気ままな願いをもって、次々に教師たちを自分たちのために寄せ集め、真理から耳をそむけ、空想話にそれて行くような時代になるからです。しかし、あなたは、どのようなばあいにも慎み、困難に耐え、伝道者として働き、自分の務めを十分に果たしなさい。私は今や注ぎの供え物となります。私が世を去る時はすでに来ました。私は勇敢に戦い、走るべき道のりを走り終え、信仰を守り通しました。今からは、義の栄冠が私のために用意されているだけです。かの日には、正しい審判者である主が、それを私に授けてくださるのです。私だけでなく、主の現われを慕っている者には、だれにでも授けてくださるのです。 祝祷 教会の頭であられる私たちの主イエス・キリストの父なる御神よ、主は信じる者を集めて教会を建て、教師を遣わして群れを導かせてくださいます。いま私たちは、この教会が招聘し、教団が承認したしもべを、この教会の牧師の職に就かせようとしています。願わくは、主の祝福のもとに、ここに挙げる式を御旨にかなわせ、教会にとっても、主のしもべにとっても、意義深いものとして、その新たな門出にふさわしいものとしてくださいますように。主イエス・キリストの御名によってお願いいたします。 アーメン。 誓約 (牧師に就任する教師を会衆の前に起立させ、左の誓約をすることもある。) 問 あなたは今この教会の牧師としての任務に就こうとしています。あなたはこの教会に招聘されたことを神の御旨であると信じ、専ら主の栄光のためにその身をこの職にささげる覚悟がありますか。あなたは主の賜う恵みによって、神のことばの奉仕者としてふさわしい言行をなし、この教会の牧師の務めを、忠実に、誠意をもって果すことを誓約しますか。 答 神と教会との前でこれを誓約いたします。 任職の辞 主イエス・キリストの父なる神は、あなたを重大な務めにお召しになりました。イエス・キリストの羊の群れは、今あなたの手にゆだねられました。もしあなたの過失と怠慢とによって、群れから迷い出る者があるならば、あなたは主の前に責任をとらなければなりません。聖書に「あなたがたは自分自身と群れの全体とに気を配りなさい。聖霊は、神がご自身の血をもって買い取られた神の教会を牧させるために、あなたがたを群れの監督にお立てになったのです」とあるとおりです。あなたは、神のことばを宣べ、祈りをささげ、聖礼典を執り行うために召されたのです。それゆえ、自分のことを宣べ伝えるのではなく、ただイエス・キリストの主なることを宣べ伝えなさい。自らを欺いてはなりません。人のまくところはまたその刈るところとなりますから、常に善を行い、専ら祈りをなすことと、みことばに仕えることとに努めなさい。 あなたは、教会と世との前で、キリストの御足の跡を踏み行くために召された者であります。それゆえ、天にあるものを思い、地にあるものを思ってはなりません。見えるところのものに目を止めないで、見えないところのものに目を止めなさい。耐え忍んで、その前に置かれた馳せ場を走らなければなりません。このようにするならば、牧者の長の現れた時、良い忠実なしもべとして、朽ちることのない光栄の冠を授けられます。 アーメン。 (ここでテモテヘの手紙第二、4章1-8節を読んでもよい。) 教会員の誓約(教会員を起立させる) 問 あなたがたが招聘したこの敬愛する神のしもべは、今あなたがたの牧師として主から遣わされました。あなたがたは心から感謝して受け入れる覚悟がありますか。そもそも牧師の任務は、祈りを第一とし、教え、勧め、慰め、導き、励まし、また戒めることであります。それゆえ、あなたがたは柔和と謙遜とをもって、その説くところの真理に従うことを約束しますか。牧師は重大な責任を身に負って、その群れの一人一人のために神の御前に祈り、また群れを守ってこれを養うものであります。あなたがたは彼に対して、使徒たちが命じたように従順であることを誓約しますか。牧師は祈りと伝道によって、人を神の国に導き入れる務めをゆだねられた者であります。このために、あなたがたはことばと行いとによって彼を励まし、助けるべきであります。 あなたがたは教会の中で紛争を起したり、党派を結んだり、分離を計ったりすることなく、どんなことも愛と和らぎとをもって行い、牧師を励まし支えて、牧会の職を全うさせるように務めなさい。 兄弟姉妹よ、主は福音を宣べ伝える者が福音によって生活すべきことを定められました。聖書に「あなたがたは、官に奉仕している者が宮の物を食べ、祭壇に仕える者が祭壇の物にあずかることを知らないのですか」「みことばを教えられる人は、教える人とすべての良いものを分け合いなさい」と記されています。それゆえ、主および使徒たちが懇ろに教会に教えたところに従うべきであります。 答 私たちは神と教会との前で誓約いたします。 任職の祈祷 天にいます全能の父よ、あなたはみことばをもって世界を造り、すべての造られたものを統べ治め、その独り子を賜うほどにこれを愛し、彼によって「この世をご自分と和解させ、……和解のことば」を私たちにゆだねられました。私たちは慎んで主の恵みを感謝いたします。 私たちは今ここに主がこの人を選び、この教会の牧師として遣わし、その職に就かせてくださることを感謝いたします。願わくは聖霊を与えて、彼をみことばの奉仕者としてふさわしい者とならせ、「神がお遣わしになった方は、神のことばを話される。神が御霊を無限に与えられるからである」とのみことばのようにならせてください。福音を宣べ伝えるのに倦むことなく、絶えざる祈りをもって奉仕し、飢え渇いた魂を養い、真理のみことばをもって罪人を御救いに導くことを得させてください。 恵み深い父よ、願わくはこの教会を恵み、牧師と信徒とが心を一つにし、互いに信頼と敬愛とをもって進み、主の再び来りたもう時まで、主のわざに励むことができるようにさせてください。かくして主の御霊がこの教会に満ちあふれ、使徒時代の教会のような働きをなし、再臨の主の御前に花嫁として立つことのできるキリストの教会としてくださいますように。主イエスの御名によってお願いいたします。 アーメン。 説教(あるいは新任牧師の就任説教) 賛美 聖歌 595「目には見えねども」 頻栄 祝祷